日韓関係の現在

アーキ・ヴォイスの
コーディネーターです。

さて現在、日本と韓国との関係は
これまでになく険悪になっています。

今日の正午時点で、

・韓国の日本大使館前で車が炎上

・河野外相が徴用工問題で
 韓国大使呼び強く抗議

などヒートアップしています。

今週月曜日、
韓国の文在寅大統領は
「日本経済により大きな
 被害が及ぶと警告する」と言い、
日本の河野外相は今日、駐日韓国
大使に対して「極めて無礼だ」と
まくしたてたそうです。

どこでこんなに関係が
悪化したのでしょうか・・・

今回のゴタゴタの直接のきっかけは、
7月1日の経産省の発表にあります。
それは、韓国への輸出管理の運用を
見直します、というもの。

この内容は、二本立てで、

1.輸出の際の韓国への特別扱いを見直すこと。
 (2004年以降のホワイト国指定を見直す)

2.半導体や軍事転用できる原材料の
  輸出の規制を強化すること。

後者2の原材料というのは以下の3品目。

 A.半導体の基板の洗浄に使われる
  「フッ化水素」

 B.テレビやスマホの有機EL製造に使われる
  「フッ化ポリイミド」

 C.半導体の基板に塗る感光材
  「レジスト」

この3品目はいずれも
軍事転用が可能な原材料。
例えばAのフッ化水素は
サリンの原材料になるそう。
BとCはレーダーと戦闘機の
素材になるとのこと。

7月5日のBSフジでの
小野寺前防衛相の発言を見ると、
これら軍事転用できる原材料が、
北朝鮮といった第三国に
流れている可能性が考えられます。

曰く、

「例えば、日本は今までウラン濃縮にも
 使える素材について、韓国企業から
 『100欲しい』と言われたら100渡していた。
 ところがよく見てみると、実際に
 工業製品に使うのは70ぐらいのはず。
 残り30はどうなのだろう。
 『全部ちゃんと使っていますよね』と
 韓国政府に確認しても最近は報告が来ない。
 信頼して出してきたのだが、
 協議に応じてくれない。
 だから、半導体の製造に使うけれど、
 ウラン濃縮にも使ううえ、VXガスや
 サリンなどの毒ガスの原料となる
 エッチングガス(フッ化水素)の
 対韓輸出の管理を強化したのであり、
 これは報復ではなく国際的な義務」

以上、引用は下記の「デイリー新潮」
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/07090555/?all=1

実際、7月10日にはFNNにより、
韓国政府作成の不正輸出リストが
報道されます。

兵器に転用可能…
 韓国『不正輸出リスト』を独自入手!

このリストによれば、
フッ化水素も2017年12月に
韓国のG社からベトナムへ輸出され、
また2019年1月には韓国のS社から
UAE=アラブ首長国連邦へ不正に
輸出されていることがわかります。

つまり、輸出しても韓国側で
原材料の管理ができていない・・・

7月12日には韓国の国会でも
野党議員の指摘により、
韓国国内において、日本から輸入した
フッ化水素の過半が行方不明に
なっていることが明らかになりました。
今年の1月と5月に韓国がフッ化水素を
それぞれ日本から30キロ、3万9620キロ
輸入し、韓国はそれらが不良品だと
日本に伝え返品したとのこと。
その返品された量がたったの120キロで、
差分の3万9530キロ、約40トンが
行方不明になっています。
(CBSノーカットニュース、2019年7月15日)

おそらく1月の行方不明のフッ化水素は、
先のFNNの不正輸出リストだと、UAEに
わたっていると推測されます。
小野寺前防衛相が
「全部ちゃんと使っていますよね」
と心配されるのも無理ありません。

今回の日本の輸出規制は、
韓国の管理が杜撰だったために
2004年以前の輸出手続きに戻しますよ、
ということに過ぎません。
これは輸出管理の話であり、
ひいては国家の安全保障上の
話であったと言えます。

ところが、
こうした原材料の規制は
韓国の半導体産業に大きな
インパクトを与えることになります。
そのため韓国側の経済問題に発展。

すでに昨年11月時点で、
日本政府はフッ化水素の輸出を
一部承認しないと韓国に伝えており、
当時、韓国の半導体業界が混乱に
陥ったことがありました。
(韓国・電子新聞、2018年11月9日)

現在、半導体の世界シェアは
1位がサムスンで、
3位がSKハイニックス。
一説には、韓国の輸出全体に
占める半導体の割合は2割強、
サムスンの利益の3分の2は
半導体事業だそうです。
サンケイビス、2018年12月13日)

こうした経済インパクトから、
韓国側は原材料の輸出管理に
関する回答をせず、今回の
輸出規制が徴用工判決への報復だ、
屈しないぞ、となりました。

なぜか日本側も韓国の反応に乗じて
徴用工問題を何とかしろと
河野外相が迫っています。

これが現在の状況かと思います。

まとめると、

(1)韓国で軍事物質が行方不明
   韓国が踏み台になって北朝鮮に
   流出している可能性があると
   日本の前防衛相が指摘

   ↓

(2)安全保障上の問題として、
   日本の経産省は韓国への
   輸出手続きを2004年以前に戻すと発表

   ↓

(3)この輸出規制が韓国の半導体業界をはじめ、
   韓国経済に多大なインパクトを与えるため、
   韓国側は徴用工判決の報復だと怒る

   ↓

(4)日本の外相が徴用工の問題も迫る

といった流れでしょうか・・・

私見ですが、
今回の話を見ていくと、
日本にとって弱点になるかもしれないなと
思うことが二つあります。

一つは、輸出規制の話を徴用工の
問題と一緒にして話をすすめてしまうこと。
おそらく(1)と(2)はWTOで
争う話だと思うのですが、
(3)と(4)は別の話。
一緒にしない方がいいのではと懸念します。

もう一つは軍事転用できる
原材料を生産している民間企業に
対しても心配しています。

調べてみると、
フッ化水素だと日本の3社で
世界シェアの8割以上を握っていますが、
メインは大阪の非上場の会社。

民間企業だと当然のことながら、
売上を落としたり利益を下げるわけには
いかないため、政府の方針で業績が
左右されるのは大変な状況ではと懸念します。

万が一、こうした会社が
海外の会社に買収されたら
話の根幹が崩れてしまいます。
オセロに例えると、
4スミを取ったら盤面が
ひっくり返るみたいな。

こうした妄想が杞憂に
終わるといいのですが・・・

以上、
今回はもめにもめている現在の
日韓関係を取り上げました。
お互いに冷静な状態に
戻ってほしいと願っています。

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