本日は歴史の転換点?

By: m01229

アーキ・ヴォイスのコーディネーターです。
本当に寒い毎日が続き、
インフルエンザが流行っていると聞きます。
季節柄、くれぐれもご自愛ください。

さて、いよいよ現地時間の20日正午、
ドナルド・トランプが
第45代米国大統領に就任します。

この就任式典は、
現地時間20日の午前11時30分から。
その後、副大統領就任の宣誓が続き、
現地時間20日正午にトランプによる
大統領就任の宣誓が行われます。
(日本時間1月21日午前2時)

ボイコットを表明する議員が
60人以上にのぼり、周囲では
大規模デモも予定されるのとこと。
FBIや米兵含め8000人の警備体制が敷かれ、
世界中が注目する式典となりそうです。

なお今週は、英国のメイ首相が
EU離脱の基本方針を示しました。

トランプの就任とともに今後、
米英の保護主義が加速していくと思います。
そこで、今回は英国と米国の今後を
取り上げてみたいと思います。

(1)まず、英国については・・・

今後、ロンドンのシティは
金融市場としての地位が相当
低下すると考えます。

英エコノミスト誌の予測によると、
英国がEU単一市場からの撤退すると、
ポンド安が加速、インフレが始まり、
経済成長率がユーロ圏を下回ることに
なるそうです。

また、昨年お話したように、
パナマ文書の流出で打撃を受けたのは
英国に関係するタックスヘイブンでした。

もともとパナマは自国通貨がなく、
米ドルが流通しているほど
アメリカに近い国。

しかしパナマ文書で流出した顧客には
米国の政治家や経営者はほぼいません。
ロシアや中国、英国(それに日本も)の
関係者は話題になりましたが・・・

米国にはデラウェア州のような
税制優遇制度があるため、
フォーチュン500企業の6割を中心に
(Apple、Google、Coca-Cola、GEなど)
100万社がデラウェア州に
法人登記をしています。
そのため、パナマのような
タックスヘイブンを利用する必要が
ありませんでした。

英国が国際金融において
存在感が大きい理由は、
世界の富の1割が集中する
タックスヘイブンで
圧倒的シェアを維持して
いるからだといわれます。

英国は、ジャージー、ガーンジー、
マン島など、王室属領を
利用することで、シティが英国のGDPの
20~30%を稼げるようにしているそうです。
昨年のパナマ文書で打撃を受けたのは、
主に英国、シティ関係なのだと推測します。

以上、
単一市場の離脱、
タックスヘイブンの地位下落、
という二つの要因を考えると、
金融市場としての英国の地位は
相当低下すると考えます。

そして今回のトランプ大統領の誕生。
この流れで5月のフランスの選挙で
マリーヌ・ルペンが大統領に当選したら、
EUは粉々に砕け散ってしまうでしょう。

(その前に英国がスコットランド独立など
 分裂してしまうかもしれませんが・・・)

今回の英国のEU離脱は
英国とシティの地位の低下、
欧州分裂の第一歩のように思います。

(2)そして米国は・・・

ヨーロッパが分断していくと、
一番メリットを享受するのは米国になります。
米情報機関ストラトフォーの
ジョージ・フリードマンによると、
「強国が出現しそうな地域の安定を乱すこと」は
米国の国益にかなっているそうです。
(ジョージ・フリードマン『100年予測』)
いわく、21世紀こそが米国の時代になる、と。

他方、世界最大のヘッジファンドの創業者、
Bridgewaterのレイ・ダリオによると、
現代は世界恐慌の後の1930年代の状況に
似ているとのこと。以前お話しましたが、
1935~45年は、1929年の恐慌の後、
世界がブロック経済に向かっていった時代で、
第二次世界大戦が起こる直前の時代にあたります。

米国の時代が来るにせよ、
保護主義による争いの時代が来るにせよ、
今後は今まで以上に米国の動きに
全世界が引きずられていくのだと思います。

その意味で、今日の就任式は、
歴史の転換点になるのではと
思っています。