新たな在留資格

アーキ・ヴォイスの
コーディネーターです。
暖かい日が続きますね。

今朝、日経新聞の一面に、
外国人の新たな在留資格の
ことが取り上げられていました。

 「外国人、実習後に就労資格」
  https://www.nikkei.com/article/DGKKZO29256530R10C18A4MM8000/
 (『日本経済新聞』の記事にジャンプします)

上記の日経記事によると、
政府は1年後の2019年の4月に、
技能実習を終えた外国人に対し、
さらに5年延長して働くことができる
在留資格をつくるとしています。
この新しい在留資格は「特定技能(仮称)」。
すると、技能実習生は最長10年間、
日本で働くことができるようになります。

これらの主な対象は
人手不足が顕著な農業や介護、
建設業とのこと。
こうした業界の現場は
単純労働と言われるため、
人手不足で困っていても、
外国人を雇用することはできません。
記事にある通り、
日本政府は外国からの
単純労働者の受け入れを
原則、認めてはいません。

従来、外国人の雇用には
就業ビザが必要で
認められるのは下記の14種。

 外務省:ビザ・日本滞在
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/chouki/index.html
 (外務省のサイトにジャンプします)

このように、
ビザ取得の問題があるため、
人手が足りず、外国人を
受け入れたいという現場では、
これまで、技能を身につけるという
「名目」で技能実習制度が
利用されてきました。

現行制度だと、
外国人技能実習生は
最長でも5年しか
日本で働くことができず、5年後は
母国に帰国しなければなりません。

今回の新たな在留資格では、
ここからさらに5年延長し最長10年、
日本で働くことができるようになります。

しかし・・・
この技能実習制度、
その存在自体に無理が
あるようにも思います。

これまで日本では「移民」に
ついて語ることがタブー視され、
外国から単純労働の受け入れを
禁じていましたが、結果として、
技能実習という名目と実態とが
乖離した制度を存続させてきました。

結果として・・・

 ・2016年の厚生労働省の立ち入り調査で、
  5173事業所のうち7割が労働基準法違反。

 ・制度の目的と実態が乖離しているため、
  米国や国連などから「人身売買」や
  「奴隷労働」と批判されている。

 ・最近話題になりましたが、ベトナム人
  技能実習生が、福島第1原発事故の
  除染作業に従事していた。

このように問題が
山積している状態です。

昨年11月には技能実習法が成立し、
外国人技能実習機構が組織され、
厳格な管理が求められるように
なったとは言え、依然として
名目と実態との乖離は続いています。

先の日経の記事に戻ると、
2025年には介護職員が約38万人
不足する見込みで、農業人口は
この10年で約4割減少していることが
取り上げられています。

先月取り上げた、
河合雅司『未来の年表』
(講談社、2017年)では、
2015年から2040年までの25年間で
日本の生産年齢人口が1750万人減ると
予測されています(151頁)。

1750万人・・・
調べてみると、数で言えば
オランダの人口に匹敵します。

(2017年のオランダ=1692万人、
 チェコやギリシャの人口は1000万人強)

日本が今後25年でオランダの人口を
丸ごと生み出すのはかなり無理が
あるかなと思っています。
(シニアや女性の活躍を求めるとしても)

だからこそ、
名目と実態が乖離しない制度、
例えばシンガポールのように
期限付きで単純労働受け入れOK
とした方がシンプルだと思うのですが、
どうでしょう?
ドイツや韓国などでは、
単純労働で入国される方々は
政府がきちんと一括管理を
していますが、日本だと難しいのでしょうか。

以上、今朝の記事を見て、
いろいろと考えてしまいました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です