ファーウェイと機密情報

アーキ・ヴォイスの
コーディネーターです。
東京は一昨日、暖かかったのですが、
昨日からまた寒くなりました。
寒暖差が激しいので、くれぐれも
体調にはご自愛ください。

さて昨日、ファーウェイの副会長が
カナダで逮捕されたという
ニュースが話題になりました。
さらに今日、日本政府が
ファーウェイを含む中国通信機器を
政府調達から排除する方針を発表してます。

政府、中国通信2社製品を排除へ
(Yahoo!ニュースにジャンプします)

何が起こっているんでしょうか。

今日は「機密情報の管理/漏洩」
について取り上げてみたいと思います。

・・・

現地時間の12月5日、
カナダで、中国の通信機器最大手、
華為技術(ファーウェイ)の副会長兼
最高財務責任者が逮捕されました。
この副会長は創業者の娘さんとのこと。

逮捕はアメリカ当局の要請によるもので、
容疑としては、経済制裁中のイランに
製品を違法に輸出していたというもの。

この逮捕を受け、
米国株をはじめアジアの株価が下落。
米中貿易戦争の新たな火種になると
注目されています。

さて、今回の逮捕ですが、これは
米中貿易戦争という経済の話ではなく、
もっと大きな文脈で、アメリカの
軍事機密や企業機密が中国に漏洩する、
という国家間の大問題なのだと思っています。

すでに2012年、
アメリカは議会のレポートで、
中国の2社、ファーウェイとZTEを、
国家安全保障上の脅威と指定しています。

というのも、
この2社は中国共産党軍部に
関連する企業であり、
特にファーウェイは人民解放軍の
出身者が創業した会社であるためです。

両社の通信機器には
スパイウェアが仕込まれているのではと
疑われていていました。

実際、通信チップから機密情報が
中国当局に送信されているようです。
例えばAmazonで見つかった
中国製チップは鉛筆の先ほどの大きさ。
こちらの写真を見てください。

中国、マイクロチップ使って
 アマゾンやアップルにハッキング

(Bloombergにジャンプします)

今回の逮捕を受けて、
ボルトン米大統領補佐官は
こんな感じのコメントをしています。

「中国は、ファーウェイなどを通じて、
 アメリカ政府や民間企業のトップシークレットを
 盗み出し、製品化してきた・・・」

アメリカは早い段階で、
政府および軍では
ファーウェイとZTEからの
部品調達を禁じました。

さらに今年4月、アメリカは
ZTEに対して、米国企業との
取引を禁じる制裁を科し、
経営危機寸前まで追い込みました。

(なぜZTEが窮地に立たされたかと言うと、
 ZTEはクアルコムの半導体といった米国製品を
 調達できないと、スマホを作れないため、
 生産停止に追い込まれ、巨額赤字を計上したからです)

また今年の8月には、中国の5社への
締め付けを強化する法案が成立。
そこで名指しされた5社とは・・・

 ・華為技術(ファーウェイ)
 ・中興通訊(ZTE)
 ・杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)
 ・浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)
 ・海能達通信(ハイテラ)

このように、
アメリカは貿易戦争以前から
中国企業に注目し、アクションを
加速させていました。

他方、アメリカ以外の国、
例えばイギリスやドイツ、カナダ、
ニュージーランド、オーストラリアなどでは
すでに中国の機器が通信ネットワークに
大量に採用されています。

最近、アメリカからの警告を受け、
イギリスやドイツでも中国製品に対する
警戒感が強まっています。

そんな中での昨日の逮捕、
さらに今日の政府発表。

ようやく日本でも調達禁止に
なるとのことで、遅きに失した感は
否めません。

日本でファーウェイは
格安スマホを大量に販売し、
さらにソフトバンクと5Gの
基地局実験提携を行っていますが、
今後の動向が注目されます。

以上、
今回の逮捕、政府発表にいたるまでの
流れを簡単にお話しました。
これは貿易戦争とは別次元の話で、
機密情報の漏洩防止に関わることだと
思っています。

弊社自身、翻訳を行うにあたって、
お客様から大切なデータ資産を
お預かりする立場なので、
機密保持については常に
気を付けています。

今回取り上げた、
通信機器(=ハードウェア)の
情報漏洩の他に、弊社では
アプリ(=ソフトウェア)での
情報漏洩なども注意しています。

例えば、LINE、Facebook、WeChat。

こうしたSNSツールは母国に
データを送信しているはずだと
考えています。
Google翻訳などのサービスも
データがGoogleに送信されています。

3年前にも
無料翻訳サイトによる
情報漏洩を取り上げていました。
あらためて記事を共有します。

『日本経済新聞』のWEB版、
2015年2月20日の記事。

翻訳サイト入力の情報、閲覧状態に
 中央省庁や大手メーカー

「インターネット上の無料翻訳サイトに
 入力した中央省庁や大手メーカーのものと
 みられるメール内容や翻訳結果が、
 ネット上で閲覧できる状態になっていることが
 20日、情報セキュリティー会社への取材で分かった。
 この翻訳サイトは、グーグルやヤフーなどの
 大手サイトではないが、約60カ国の言語に対応してる。
 ネット上で確認されただけでも、
 中央省庁職員が大手電機メーカー担当者に
 送ったとみられるメールや、
 金融機関の内部で東南アジアの企業への
 融資についてやりとりしたとみられる
 内容などがネット上で公開されている。
 省庁職員の電話番号やメールアドレスも
 含まれていた。」(以上、引用終わり)

上記で問題となっているサイトは
「I Love Translation」
というオンライン翻訳サービス。

ハードウェアだけでなく
ソフトウェアやWEBサイトにも
注意する必要があります。

これからも注意して機密情報を
管理していきたいと思っています。