デジタルイノベーション15の方法

アーキ・ヴォイスの
コーディネーターです。
今週は夏のような暑さ。
本当に暑くてびっくりしています。

さて。
今日はGWで読んだ、
マイケル・ウェイド他
『対デジタル・ディスラプター戦略』
(日本経済新聞出版社、2017年)
を取り上げてみたいと思います。

現在のビジネスの仕組みを
考える上でとても参考になりました。

・・・

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■ 対デジタル・ディスラプター戦略 ■

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ここ10年ほど、
デジタル化によって、
ビジネス環境がすごいスピードで
変化していることを日々実感します。

10年前を振り返ると、
iPhoneの初代が発売されて
ちょうど1年が経過した頃。

デジタル化による変化は、
多くのスタートアップ企業を
生み出し、既存の業界を破壊し、
ゲームのルールを変えてきました。

例えば

 ・ タクシー業界に変革をもたらすウーバー

 ・ ホテル業界を浸食しているエアビーアンドビー

 ・ 自動車の構造を丸ごと変えるテスラ

 ・ 銀行のリストラの引き金を引くフィンテック

 ・ 音楽の聞き方を変えたアップル、スポティファイ

 ・ 小売業を変えたアマゾン

こうした既存の業界や
商習慣を破壊するデジタル企業は

「デジタル・ディスラプター」
 (=破壊的イノベーター)

と呼ばれます。

本書『対デジタル・ディスラプター戦略』では、
どのようにしてデジタル・ディスラプターたちが
破壊的イノベーションを起こし、既存の
ビジネスモデルをつくり変えていくか、また、
既存の企業はどうやって延命するか、
といったことが取り上げられています。

本書では前半の分析が面白かったので、
ポイントを2点ご紹介します。

(なお今回、日本語訳を読んで、
 訳の読みやすさに感心しました。
 しかし訳語にカタカナが多かったため、
 kindleで原文をダウンロードして用語を
 確認し、ざっくり意訳しています)

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1.デジタル・ディスラプションが
  発生する可能性が高い業界
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本書によれば(日本語版338頁)、
デジタル化による業界破壊が
起こりやすいのは次の順とのこと。

 1位:テクノロジー製品・サービス

 2位:メディア・エンターテイメント産業

 3位:小売業

 4位:金融サービス業

 5位:通信業界

 6位:教育業界

 7位:旅行・ホテル産業

 8位:消費財産業・製造業

 9位:ヘルスケア業界

 10位:公益事業

 11位:石油・ガス業界

 12位:製薬業界

上記は調査データをもとにした
ランキングだそうで、
安全圏はないとのこと。
ちょっとこわいですね。。。

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2.デジタル・ディスラプションの
  15のパターン
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本書で一番面白いのは、
デジタル・ディスラプターの
ビジネスモデルを15種類に
分類しているところです。

まず、大きくは価格破壊型、
体験重視型、プラットフォーム型の
3種類があって、それぞれに5つの
パターンが紐づけられています。

下記、まとめると・・・

◆ 価格破壊型

1.商品やサービスを無料・低価格にする
  (例:無料のスカイプ、アマゾン)

2.商品やサービスを一括大量購入する
  (例:グルーポン)

3.商品やサービスの価格差を明らかにする
  (例:カカクコム)

4.消費者によるリバースオークション
  (例:レンディングツリー)

5.商品やサービスを消費した分のみ従量課金
  (例:セールスフォース)

◆ 体験重視型

6.仲介を省き消費者に情報を与える
  (例:ネットで番組を直送するネットフリックス)

7.商品やサービスを個人用にカスタマイズする
  (例:ノードストローム)

8.瞬時に商品やサービスを届ける
  (例:すぐにダウンロードできるアマゾンkindle)

9.デジタル化により、商品やサービスの物理的負担を軽減
  (例:ビットコイン)

10.作業やプロセスを自動化する
  (例:ウェルスフロント)

◆ プラットフォーム型

11.商品やサービスの周辺環境を独占的に構築
  (例:アプリなど環境を独占するアップルのiOS)

12.クラウドソーシング
  (例:クラウドワークス、ランサーズ)

13.コミュニティ
  (例:ツイッター、フェイスブック)

14.デジタル・マーケットプレイス
  (例:エアビーアンドビー)

15.ビッグデータの組み合わせ
  (例:IoTデータから危険を察知するGEのプレディックス)

上記のパターンを
組み合わせていけば、
さらに破壊力が増すそうで、
「組み合わせ型ディスラプション」と
呼ばれます。

ここで、頭の体操として、
フェイスブックを例に
考えてみましょう。

フェイスブックは誰でも
無料アカウントが作れ(=1)、
自分のアカウントを自由に
カスタマイズすることができます(=7)。
さらに、知人とつながり、
特定のグループを作ることも可能(=13)。
最近、問題になりましたが、
大量の個人情報を保有しているため、
企業が広告を出す場合でも
特定の属性に絞って広告を出すことも
可能です(=15)。また最近は
アカウント間で売買もできるそう(=2、14)。

このように考えてみると、
本書の15パターンにはなるほどと
うなずけます。

以上、
本書で一番面白かった箇所を
ご紹介しました。

なお本書では後半、
どのように既存企業が
デジタル・ディスラプションを
避けるのかが取り上げられていますが、
ちょっと具体的な方法が欠けている感じで
この部分は内容としてイマイチでした(失礼)。
クレイトン・クリステンセンの
『イノベーションのジレンマ』の
方が魅力的かもしれません。

余談ですが、下記は
米国CNBCが毎年発表している
「Disruptor50」のリスト(昨年版)。

「Meet the 2017 CNBC Disruptor 50 companies」
 https://www.cnbc.com/2017/05/16/the-2017-cnbc-disruptor-50-list-of-companies.html

上記は2017年のリストですが、
2018年は現在集計中なのでしょうか。