スティーヴン・ホーキング博士

アーキ・ヴォイスの
コーディネーターです。
今週の東京は春になったかの
ように暖かいですね。
あと2週間で3月が終わります。

昨日の3月14日(現地時間)、
スティーヴン・ホーキング博士が
76歳で亡くなりました。

(この日はホワイトデーですが、
 アインシュタインの誕生日でも
 あったようですね。さらに言えば、
 3.14で「円周率の日」でもあるのだとか)

ホーキング博士は、
筋萎縮性側索硬化症(ALS)のため、
電動車いすに乗り、合成音声で
発話するという、インパクトの
ある容姿で、物理学者のイメージを
決定づけました。

学生時代、ベストセラーになった
『ホーキング、宇宙を語る』(1988年)
を読んだのですが、当時は関連知識に
乏しく、全く理解できず呆然として
しまった記憶があります。
文字を目で追っても、
頭に知識がないため、
理解ができないという状態。

ただ、今でも覚えているのは、
独特な「時間」の考え方。
インパクトのあった部分を
今、簡単に読み返すと、およそ
こんな感じになるかと思います。

(以下、『ホーキング、宇宙を語る』、
 林一訳、早川書房、1989年の189頁以降)

・光速の世界を考える相対性理論では、
 誰もが認める「絶対時間」というものは
 成り立たず、結果、「時間」という概念は、
 それぞれの観測者の視点から測定された
 相対的な考え方となってしまった。

・こうした「時間」の考え方をもう少し
 考えてみると、通常、誰もが時間は
 過去から未来へと流れる「時間の矢」として
 イメージすることができるが、実は、
 時間の矢は、次の3つに分類できるはず。

 1.熱力学的な時間の矢

 エントロピーの増大、つまり、
 無秩序の拡大という観点から、
 時間の方向性は、過去から未来へと
 時間の矢として成り立っている。

 2.心理学的な時間の矢

 これは人間が感じる時間感覚のことで、
 過去は記憶しているが、未来は記憶して
 いないという人間の記憶に由来している。

 3.宇宙論的な時間の矢

 宇宙が収縮ではなく膨張する方向で
 時間の矢が成立し、過去から未来へ
 時間が流れていくというもの。

・これら3つの時間の矢は、簡単に言うと、
 「 2 → 1 → 3 」という形で、依存する
 関係にあるため、現在、3つの時間を
 同じようなものとして語ることができている。

以上、
『ホーキング、宇宙を語る』の
一部を簡単に要約しましたが、
時間というものがここまで
厳密に語れるのかと当時、驚きました。

(本来は「特異点定理」などを
 論じるための書籍だと思うのですが)

ホーキング博士に限った話では
ないのですが、今の便利な社会は、
様々な先端研究があって成り立つ
と思っているので、今回の訃報、
心からご冥福をお祈りします。