日本でベトナム人が増えている理由

アーキ・ヴォイスのコーディネーターです。
3月に入りました。暖かくなりましたね。

ところで、
最近、弊社へのご依頼で、
ベトナム語通訳や人材紹介、
派遣のご依頼が急増しています。

(半年前も増えていることを
 取り上げましたが、今年に入って、
 さらに依頼が増加しています)

ベトナム人技能実習生を
受け入れた企業からの依頼で、
通訳や生活指導員の手配、
さらには日本語講師、
寮の管理人を派遣してほしいと
言われるケース。

また、ベトナム人アルバイトを
採用するにあたり、
就業規則などをベトナム語に
翻訳してほしいといったケース。

日本国内の企業が
ベトナム人スタッフとの
意志疎通で困っていることが
うかがえます。

こうしたベトナムの技能実習生や
労働者が増える背景には、
日本の現場での人口不足があります。

とはいえ、
なぜベトナム人が今、
増加傾向なのでしょうか?

結論から言うと、

1.ベトナムは若い人口が多いから

2.若年層が多い理由は、ベトナムと
  日本には、人口のピークが
  40年ほどのタイムラグがあるから

だと思います。
以下、上記2つを取り上げます。
興味のない方は飛ばしていただければ・・・

現在、日本の入国管理局を
通過する外国人は留学生の場合、
国籍別だと、1位が中国、
2位がベトナムになっています。

ベトナムは若い人口が多く、
国連のデータで見ると、
2015年のベトナム人の
平均年齢は「30.4歳」です。
ちなみに、2013年は
「29.8歳」でした。

下記は国連人口部のデータ。
国をプルダウンで選ぶと、
人口動態の推移がグラフで出てきます。
https://esa.un.org/unpd/wpp/Graphs/DemographicProfiles/

日本の人口のピーク(2010年頃)と
ベトナムの人口のピーク(2050年頃)は
約40年ほど、ズレています。

日本の景気がよかったのは、
生産年齢人口(15歳~64歳)に、
団塊世代と団塊ジュニアが入っていた
2000年まででした。

(このあたりは 
 藻谷浩介『デフレの正体』、
 デービッド・アトキンソン
 『新・所得倍増論』に拠っています)

日本のベビーブームはどうして
起こっているかというと、1946年の
第二次世界大戦の終了がきっかけです。
「団塊の世代」と言われる
第一次ベビーブームの方々は、
戦後すぐの1947~1949年に
生まれています。
(ちなみに、第二次ベビーブームの
 「団塊ジュニア」は団塊世代の
 子供の世代になります)

アメリカを含め、全世界的に、
この年代の人口が多いのですが、
ベトナムだけは違っていました。

ベトナムは第二次世界大戦の後、
フランスと戦い(1946~1954)、
その後、アメリカとの
ベトナム戦争に突入します。
1975年のサイゴン陥落により
この戦争は終わりますが、
その後もベトナムは戦い続けます。
カンボジアとも中国とも。
1986~89年に戦争が終わります。

ですので、ベトナムの戦後は
1986年~1989年以降の話。
この直後にうまれた人々が
ベトナムでのベビーブームにあたります。

日本の戦後(1946年以降)と
ベトナムの戦後(1986年以降)。

このタイムラグの40年が、
日本の人口ピークと
ベトナムの人口ピークの
40年のズレになります。

現在、日本は人口1億2686万人ですが、
その4分の1が65歳以上になっています。
(正確には、内閣府の「高齢社会白書」
 平成28年版で65歳以上の比率は26.7%)

日本とベトナムの生産年齢人口
(15歳~64歳の人口)だけを比べると、
2015年現在で、

・日本の生産年齢人口は、7696万人

・ベトナムの生産年齢人口は、6557万人

となっています。
2030年には日本とベトナムの
生産年齢人口の数は逆転します。

(余談ですが、2015年の生産年齢人口
 で日本は11番目、ベトナムは12番目です。
 トップは中国の10億人、次がインド8.5億人)

というわけで、
日本にベトナム人が増えている理由は、
ベトナムは若い人口が多いことが原因。
そしてその理由は、ベトナムのベビー
ブームが戦争の影響で世界と40年ほど
時間差があるから、となります。

もちろん、インドネシアなど、
生産年齢人口が多い国は他にもありますが、
1人当たりのGDPや、日本へのビザなど、
さまざまな事情から、
(またいつか取り上げます)、
日本国内でベトナム人が
増加の一途をたどっていると言えます。

人口動態上で考えると、
現在のベトナムは日本の1977年に
匹敵すると考えていいかもしれません。
(2017年-40年の時間差)

日本でベトナム人が増えている理由」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: ベトナムからの人材受け入れ | 100言語サービスの仕事術

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