翻訳者派遣と同一労働同一賃金

By: Cydcor

アーキ・ヴォイスの
コーディネーターです。
12月に入り、寒くなりました。
特に今朝は真冬並みで、
日中になっても寒いままです。
くれぐれもご自愛ください。

さて今日は、
「同一労働同一賃金」
について取り上げます。

これまでは、お客様から
事前に派遣社員の時給をお聞きして、
その後、条件にあうスタッフを探したり、
金額交渉をしたりしていたのですが、
今後は、後述しますが、
派遣社員の賃金をあらかじめ決め、
その上に経費を載せて、お客様に
ご時給を提案する、
という従来とはまったく違う
考え方が求められます。
見積のコペルニクス的転回・・・

派遣業界に長く関わっている方が
この制度を指して、
「人材派遣会社にとって、
 過去30年で一番
 インパクトのある改正だ」
と言っていました。

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■ 同一労働同一賃金 ■

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1.同一労働同一賃金の概要と背景

現在、弊社では来年の
4月から導入される、

「同一労働同一賃金」

の対応に追われています。

これは働き方改革の一環で、
「パートタイム・有期雇用労働法」と
「労働者派遣法」が改正され、
「同一労働同一賃金ガイドライン」
が盛り込まれていることから、
簡単に「同一労働同一賃金」と
言われています。

大企業では来年2020年4月から、
中小企業では2021年4月から
施行されることが決まっています。
なお、派遣法の改正は
2020年4月からです。

内容を簡単に言えば、
正規雇用社員と非正規雇用社員との
格差をなくしましょう、というもの。

つまり、正社員であれ、パート、
派遣さんであれ、同じ仕事を
するのであれば、賃金や待遇は
バランスのとれるものにする
必要がある、という内容です。

どうもモデルはEUにあるそうで、
EU諸国では雇用形態に応じて
賃金が変わることがNGだそうです。
(1997・1999・2008年のEU労働指令)

(なおEUでは賃金は職務給であること、
 以前から業界ごとに賃金テーブルを
 決めてきていることなど、日本とは
 導入背景が異なります)

現在、日本では非正規労働者の数が
2120万人いて、労働市場の40%を
占めていることから(総務省2018年)、
今回の格差是正の話になりました。

今回、日本の同一賃金同一労働で
対象となる方々は下記の3パターンです。

 (1)派遣労働者

 (2)有期雇用労働者

 (3)パートタイム労働者
(無期雇用フルタイムのパートは今回は省く)

これら(1)~(3)の非正規社員が
働く場合、正社員とバランスの取れた
賃金や待遇にしなくてはなりません。

なお、同一労働同一賃金は罰則規定が
ありませんが、事業者と労働者の間で
裁判をせずに解決するプロセスが整備
されています。

以上が同一労働同一賃金の概略ですが、
弊社は人材派遣会社でもあるので、
上記(1)で対応を迫られることになります。

2.人材派遣会社における同一労働同一賃金

人材派遣業は、お客様のもとに、
自社の契約スタッフを派遣します。

派遣元である弊社が、
派遣社員の方々に対して、
同一労働同一賃金を
実現しようとすると、一体
どうすればいいのでしょうか?

方法は二つあるようです。

一つは、お客様のところで
同じ状況の仕事をしている人の
賃金を聞いてきて、派遣スタッフの
賃金を同じ金額に合わせる方法。
もう一つは、業種別統計による
平均的な給与に必要な手当などを
上乗せして、賃金を決定していく方法。

以上の二つは厚生労働省で
次のように定められました。

(A)派遣先均等・均衡方式

(B)労使協定方式

まず(A)「派遣先均等・均衡方式」は、
お客様で派遣者と同じような働きを
している社員をピックアップしてもらい、
賃金を含めた待遇情報を教えてもらいます。
派遣社員には、行った先の社員と同じ
待遇を提示しなくてはなりません。

果たして、お客様から社員の待遇を
教えてもらうというのは現実的でしょうか・・・
今回、派遣先に対しても、賃金に関する
情報を提供するよう義務付けられたのですが、
現実のオペレーションとして、
ちょっと難しいように思います。

そうなると、多くの派遣会社が選ぶだろうと
言われているのが、(B)の「労使協定方式」。
これは、従業員の過半数代表者と労使協定を結び、
派遣元の会社が一般の労働者の平均的な賃金を調べ、
そこに、通勤手当や退職金を加算して
賃金を定めます。

でも平均賃金はどうやって計算するの?
という疑問がでるかと思います。
このことに関しては下記を見るようです。

PDF:職種別平均賃金(局長通達別添2)
(厚生労働省のPDFにジャンプします)

以上、派遣社員の同一労働同一賃金には
二つの方法があることを見ました。

3.実際のイメージ

これまで弊社が人材派遣を行う場合、
こんなやりとりでした。

まず、お客様からお仕事の内容と
希望のご予算を聞き、弊社の
登録スタッフの中から予算にあった
時給の人材を見つけ、スキルを確認し、
契約。人材派遣がスタートします。

しかし今後は、お客様の予算だけでなく、
お客様のもとに派遣するスタッフの時給を
「特定の方法で」計算し、マッチングさせる
必要がでてきます。

その際、派遣社員の時給については、
お客様から同じ待遇の社員の賃金を
教えてもらって時給を決めるか、
労使協定を結んで平均賃金を確認し、
手当などを加算して時給を決めるかの
どちらかになります。

以上、長くなりましたが、
同一労働同一賃金について
概要、派遣会社がどのような
ことをするのかをお話しました。

なお、弊社の派遣スタッフを
受け入れていただいている弊社の
お客様につきましては、今月から
来月1月にかけて、順次、ご説明を
させていただきたいと思っています。

現時点では下記を
ご確認いただければ幸いです。

PDF:派遣先のみなさまへ
(厚生労働省のPDFにジャンプします)

<今日のイチオシ!>

外国語の得意な人材を派遣しています。
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追記
2019年12月13日、
文章を若干、修正変更しました。

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